*オリジナル展開注意*
レインは大きく一歩足を踏み出し、羽織っていた外套の留め金を外した。足もとに外套がばさりと落ちる。ケリュネイアはぼんやりレインを見上げていたが、自分のすぐ傍にその外套が落ちてきたので、慌ててそれを拾い上げて抱きしめるように丸めた。
「お、おい、レイン!」
猫屋敷のポーチに立ったままことの成り行きを見守っていた――というより口を挟むタイミングがなかったのかもしれない――ヴァンが非難めいた声を上げた。が、レインはそちらを振り向きもしなかった。視線は常に、ネメアに向いている。ネメアもまた、同じであった。
「あんたたちはいい。ケリュネイアを頼む」
そう言ったレインに、ネメアは無造作に槍を構えた。少し、広めに脚を開く。
「別に、何人でかかってこようが、かまわんぞ」
「あなたと戦うのに、ほかの者の手は必要ない」
きっぱりと言い放ったレインは、ネメアに対して半身になるようにして槍を構えた。
夏の到来を感じさせる猫屋敷の庭は華やかだ。夏らしい、赤や黄色のはっきりとした色味の花々が、木々の枝葉を透かして差し込む日差しに輝いている。その木漏れ日を浴びて、二本の槍の穂先がギラリと光った。
猫屋敷を取り囲む森が、柔らかな風に吹かれてざわめいた。木立の隙間を縫ってやってくる七月の風は爽やかで、心地がよかった。猫屋敷の上にはぽっかりと穴が空いたように、森の天蓋が開かれているが、庭と森の境界は非常に曖昧だ。木々が風に緑の葉を揺らすたびに、庭の下生えに落ちた木漏れ日がそれにあわせてゆらゆら揺れた。
風が、やんだ。
下生えを切り払いながら振り上げたレインの穂先を、ネメアのランカが打ち払う。重たい金属音が森中に響き渡った。
庭の隅に群生しているカスミソウの、可憐な白い花を切り払いながら、ランカの穂先が閃いた。紙一重で穂先をかわしたレインが、大きく踏み込む。振り下ろした槍が、ランカの柄とぶつかり合ってまた大きな音を立てた。
唸るような音を立てて風を切り、ネメアはランカを切り上げる。それを槍で弾き返すと、レインの手はひどく痺れた。槍を握りしめる手に意識を集中していないと、取り落としてしまうかもしれない。
重い――無論、そんなことは百も承知である。ネメアに稽古をつけてもらったときから、重々、わかっていた。だが、殺気を乗せて振るわれるランカは、その比ではない。ともすれば、こちらが受け止めた槍の穂先ごと跳ね飛ばされてしまいそうになる。
あまり受け続けると、腕が痺れる。どちらにせよ、長引けば不利になる。短期決戦するしかない。レインは首もとを狙った大槍の穂先を身をかがめて避けながら、ネメアの鉄靴を履いた足をすくい上げるように槍を振るった。下生えの上を滑るように、槍の穂先が空を切る。
振り下ろされたランカが、レインの眼前で唸りを上げた。横に飛び退りながらかわしたレインの靴底が、緑の下生えをすり潰した。その青臭さを吹き飛ばしつつ、レインの槍の穂先がネメアに向かって走る。
ランカがその穂先を絡め取った。槍が押さえつけられる。
まずい、槍を跳ね飛ばされる――槍を強く握り締めて強引に引く。ランカがレインの槍を跳ね上げる。槍から手を放しこそしなかったが、体勢が崩れた。
風を切って、ランカの柄がレインの左上腕を打ち据えた。甲冑の上からでも骨が軋む。体勢を整えつつ、右手だけで振り下ろした槍の穂先は、いとも簡単に弾かれてしまう。
まともに打たれた左腕がひどく痛んだ。だが、のん気に治癒魔法なんぞを打っている暇がない。レインは奥歯で痛みを噛み殺す。
切り払ったレインの槍を、ネメアが右手の手甲で弾いた。間髪をいれず大気を切り裂いて、唸りを上げながらランカがこちら目掛けて振り下ろされる。引き戻した槍の柄が、ランカの大きな穂先とぶつかって激しい音を立てた。衝撃が伝わって、腕が痺れる。
ネメアが大きく槍を引いた。突きが来る。
レインの背筋に冷たいものが走った。恐怖に一瞬、足がすくむ。
踏み込め――!
レインは己を鼓舞した。守りに入れば、一気に押し込まれる。一度劣勢に立てば、レインにそれをひっくり返すことはできないだろう。今、この勢いのまま、一気に押し切らねばならない。
レインが大きく一歩を踏み出したのと、ネメアが左手に持ったランカを繰り出すのは、ほとんど同時であった。ランカの返し刃が、レインの脚を覆う騎乗用の黒い下穿きごと、彼女の右太ももを深く引き裂いた。鮮血が散る。
だが、レインは引かなかった。踏み込んだ足をそのままに、ネメアの首もとを狙って、槍の穂先を振り下ろす。容赦ない角度と速度だった。
正直な話をすると、レインはこのとき、はっきりとネメアを殺すつもりでいた。オルファウスを殺された怒りというよりも、そうでなければ、ネメアを止めることができなかったからだ。気絶させる、などという加減は、強者が弱者にしてやる施しである。
肉を打つ鋭い音が、猫屋敷の静かな庭に響いた。レインははっとする。ネメアの黒い革手袋に覆われた右手が、彼女の槍の柄をしっかりとつかんでいたからだ。無論、穂先はネメアの首まで届いていない。
レインの空色の視線と、ネメアの鋭い海色の視線が絡まる。
レインの動きを止めたネメアは、左手に持ったランカを翻した。飛び散った赤い血が、緑の下生えにぱっと散った。
右太ももの激痛に耐えかねて、思わずバランスを崩す。ランカの柄が、先ほど深く傷ついたレインの太ももを殴打したのだ。痛みに意識が飛びそうになる。全身から脂汗が吹き出る。右脚に力が入らない。骨までやられた、とは思いたくはないが、しっかり立てそうにない。
押し込まれることを覚悟で治癒の魔法を打つしかない。レインが覚悟を決めたときだ。彼女の体が僅かに浮かんだ。
「!?」
ネメアがレインの槍を力強く引っ張って、引き寄せたのだ。槍を放さなければ、と思ったときにはもう遅い。眼前に大きな手のひらが迫っている。
もし、レインの右脚が万全であったなら、この手を避けることも、あるいは可能であったかもしれない。だが、動きの鈍い片脚ではそうもいかない。
認識したときには、のど首をわしづかみにされていた。首がしまり、息が詰まる。
だが、窒息だの何だのの心配は必要なかった。なぜなら、すぐに思い切り投げ飛ばされてしまったからだ。その拍子に手から槍の柄がすっぽ抜ける。飛ばされた方向には、綺麗に手入れされた鉢植えが並ぶ棚があった。それを派手な音を立てて破壊し、それでもレインの勢いは止まらずに、屋敷の横にある納屋の壁まで破壊した。そこでようやく止まる。
納屋の冷たい土の上を転がったレインは、身を起こそうとしてもがいた。髪に絡まった陶器製の鉢植えの欠片が、甲冑にあたってがちゃりと音をたてながら落ちていった。
レインは這いつくばったまま激しく咳き込んだ。背中を打ったせいで息ができない。視界が白くにじんだ。
もうもうと立ち込めた土煙が、猫屋敷の納屋を覆い隠している。納屋の前に置かれていた鉢植え棚がレインの体が当たって破壊され、がたんっと音を立ててさらに崩れた。棚に並べられていた植木鉢は、ほとんどが割れている。無残だ。
ネメアは大股に庭を横切って、その納屋のほうへと向かった。黒い鉄靴が花壇の柔らかい土を踏み固め、そこに咲き乱れていた黄色い小さな花を蹴散らした。
彼はこのとき、納屋のほうを呆然と見ている妹の横を通り過ぎた。まったく無造作であった。ネメアはケリュネイアに対してまったくの無関心だった。
ケリュネイアは顔面蒼白で、泣くことも忘れたように口もとを両手で覆っている。土煙で明瞭としない納屋の方を呆然と見つめながら、レインの外套を抱えていた。だが、ネメアはそんな妹のほうを一瞥もしなかった。レインがそうであったように、ネメアの青い双眸もまた、このときまで彼女から一切外れなかったからだ。
「レイン!」
レインの仲間らしき小僧ども――思わず駆け出したのだろう――が、ネメアの前を横切ろうとしたので、ネメアは初めてレインから視線を外した。ちらりと、彼らを一瞥する。
うっ、と小さく呻いて、小僧どもは足を止めた。血の気の失せた顔を俯けて、縫い付けられたようにその場から、二人とも動かなくなる。
普通はこうなる。レインのような者のほうが珍しいのだ。私の視線を受け止めて、返すなど――ネメアは、二人を取るに足らぬと判断した。視線を外して、納屋に向かう。よしんば、後ろから仕掛けられたとしても、何とでもなるだろう。
半壊した壁をさらに素手で引っぺがしながら、ネメアは少しだけ身をかがめて、強引に納屋の中に進入した。納屋の中は薄暗く、ひんやりとしている。むき出しの湿った土の上には板切れの破片と、壊れた植木鉢が土とともに散らばっている。全体的に立ち込めている土煙のせいで、視界は悪い。
そこで気づく。この土煙は、ただの土煙ではない。精霊の力を帯びている。
ダストか、とネメアは判断する。視界を覆う土煙の向こうで、さっと影が動いた。かと思うと、こちらに向かって何かが飛来してくる。魔法で作り上げられた土煙は微動だにしていない。飛来物を手甲で打ち払うと、地面に鋤が転がった。それを認識するより早く、ネメアの視界に赤い舌のような炎が広がった。
炎の熱気が肌を散りつかせる。だが、ネメアは怯まなかった。その炎の向こうからギラリと光る短剣を振りかざしたレインが、踊りかかってきたからだ。
炎を透かして見えたレインには躊躇いがなかった。薄青い瞳を殺気にギラギラさせていた。彼女の瞳と同じ鋭さを持った短剣の切っ先は、迷いなくネメアの急所を向いている。
炎を振り払いながら、レインが懐に飛び込んでくる。この近距離では槍が振るいにくい。突き出された短剣を右の手甲でいなしながら、彼女の手首をつかむ。だが、レインは巧みにその手を振り払い、返す刀でわずかな隙きも逃すまいとこちらの首もとめがけて肉迫する。ランカの柄を刃に引っ掛けて、ネメアは右手をレインのの首もとに伸ばす。それを払いのけるように、レインはネメアの胸を蹴った。
ブーツのつま先が、ネメアの顎もとをかすめた。
ネメアの手から逃れたレインは、ごろりと冷たい土の上を転がって受身を取ると、いつでも飛びかかれる姿勢を取った。
それにしても、左肩と右脚の傷はもちろん、てっきり強かに背中を打ちつけたせいで、呼吸が一時的に止まっているだろうと思っていた。ネメアはそのようにして、レインを戦闘不能に追い込んだつもりであった。しかし、現実はどうだろう。レインの動きは鈍くない――どころか、右脚の負傷を感じさせないくらいである。
一時的とはいえ呼吸が止まった状態で打てる魔法は、下級のものが一発程度だろう。果たして、彼女は何の魔法を使ったのだろう。
油断なく構えたレインを観察していたネメアは、思わず目を見張る。レインの鼻や口の周囲には空気の対流がある。この娘は、風の精霊に干渉して、肺に無理やり空気を送り込んでいるのだ。
意図せず呼吸が止まると人間は混乱する。たとえ、それがわずかな時間であってもだ。こと戦闘においては、その瞬くような時間の混乱が生死を分ける。死を意識するような混乱の中で、最も正しい判断を下し、なおかつ繊細な魔道のコントロールを的確に行うとは――あの小娘が成長したものである。
こちらに悟らせない演技も上々だ。上手くなった――呼吸を回復したあと、治癒の魔法で傷を応急処置したのだろう。しかし、あれだけの短時間では完治とはいかないはずだ。ダストを撃ったのがその証拠。時間稼ぎがしたかったのだろうが、残念ながらネメアには目くらましの術が利かない。
レインの魔法は主力にできるほど強くない。だからといって、レインは引かないだろう。
ネメアが滑るように前に出た。
レインがすぐさま反応して身を引く。追いかけるように振り下ろそうとしたランカが、意図せず止まった。
ランカの穂先が、納屋の壁に引っかかったのだ。レインとて未熟といえど槍の使い手である。狭い場所では槍は不利だ。特に、ランカのような大型の槍は。
壁に穂先が引っかかるように誘導したのだろう。レインがすぐさま左手に魔力の光を灯し、地面を蹴った。薄明かりの中に短剣の刃が光る。
レインはとても強くなった。リベルダムのギルドで出会った頃には、ただの駆け出し冒険者の小娘であったというのに。ネメアと刃を交えても、少しは相手になるくらいには。力も、技術も、知恵も、随分成長したように思う。
だが、それでもなお、まだ足りない。
ネメアは引っかかった槍を戻そうとはしなかった。逆に、戻すのではなく、押した。ランカの穂先が薄い木材を破壊する。崩壊した板壁から陽光が差し込んで、納屋内部の薄闇を駆逐する。ネメアは勢いそのまま、納屋の壁を破壊しつつランカ振るった。その膂力に耐え切れずに、壁が音を立てて崩壊する。
レインはぎくりと足を止めた。差し込む光に輝く薄青色の瞳が、驚愕に見開かれるのが見て取れた。
帯状に落ちる光の中に、木っ端と木屑とほこりが舞う。ランカを振り上げるとそれらが大気中で混ぜられて、マーブル模様を作った。降り下ろされたランカの刃が、その光と木屑が作る層を寸断する。木っ端ごとレインの右肩をランカの太い柄が殴打した。甲冑の上からでも、骨が砕けたのがわかる。レインがたまらず短剣を取り落とした。
だが、レインは倒れなかった。武器もなく、ここまで打ち据えられてなお、彼女の瞳の輝きは一切の曇りを知らない。
不意に、己の両脚で立ったレインと目があった。その瞬間、振り乱した黒髪の向こうに、ネメアは空の青を見た。雲の切れ間から覗く、青空の色を。そこに降る星色の瞬きを見て、ネメアははっとする。
何だ、今の輝きは。レインの内側から燃え上がってくるような輝きは――。
輝きは一瞬にして、またレインの内側に消えてしまった。今はただ空色が広がるばかりだ。
負傷の残る左腕一本になっても、レインは引く様子がない。破れかぶれというわけではない。まだ、何か策があるのだろう。だが、それを許してやるほどネメアも甘くはない。ランカの石突が、レインの胸部を激しく殴打した。こらえきれなかったレインの体が大きく後ろに吹き飛ぶ。そのまま納屋に侵入したときと同じように、壁を派手に破壊して外に飛び出した。
納屋の後ろは小さな畑になっている。レインの体はそこを囲っている低い木製の柵に追突した。柵を破壊してもなお止まらずに、土の上でバウンドして、畑の畝を破壊してようやく停止する。
レインは畑の柔らかい土に、体を半ば埋もれさせるようにして沈黙している。
ネメアはレインが破壊した――そうさせたのは自分だが――壁の穴を、さらに広げながら裏庭に出た。そして、うつ伏せになっているレインの傍に、大股で歩み寄った。
レインは青白い顔をして、黒い畑の土に半ば埋まっている。一見して死んでいるようだが、気絶しているだけで微かに息はある。骨折やら打ち身やら創傷はあるだろうが、すべて治癒魔法で治る範囲のものだ。問題ない。
土の上に投げ出された左手の親指に、金色のきらめきがある。闇の神器のひとつ『魂吸いの指輪』は、畑の土に埋もれてもくすみもしない。ぐったりと力のこもらないレインの左手から、金色の指輪を抜き取って懐に入れる。
指は勘弁しておいてやろう、とネメアはレインの薄墨色の髪をなでた。
レインの体を抱え上げようとしたネメアは、ふと、視線を感じて顔を上げた。畑の裏に広がる森の茂みから、白い獣がこちらをじっと見つめている。子猫である。
ネモではなかった。あれはネメアの気配を嫌ったのか、姿を見せない。新緑のような緑色の目をした、真っ白い体毛の子猫は茂みの中からとことこやってくると、畑の端で足を止めた。前足をぴっちりそろえて座る。大きな目でこちらを促すように見ている。
ネメアはふいっと彼から視線をそらすと、ピクリとも動かないレインの体を抱え上げた。横抱きにすると、レインは四肢をだらりと下げてぐったりとしている。
レインを抱えたネメアが歩き出すと、子猫はその後ろをひょこひょこついてきた。
ネメアは納屋を迂回するようにして、庭に出た。彼の姿に、その場に置き去りにしていた三人が真っ青な顔をして息を呑んだのがわかる。ネメアは何も言わずに、彼らの傍を横切ると、レインの体を玄関ポーチに寝かせた。その傍に、例の白猫が寄り添うようにして腰を下ろす。
そのまま、ネメアは踵を返して、また庭を横切って屋敷から去ろうとした。ここにもう用はない。
「待ちなさいよ!」
金切り声に足を止めて、肩越しに振り返ると、相変わらず青い顔をした妹が泣きはらした目でこちらを睨んでいた。立ち上がり、震える拳を握り締めている。
「あ、あんたは最低よ! バロル以下のケダモノよ! レインは……レインはねぇ、兄さんを信じてたのよ! 闇になんか落ちてないって! そんな人じゃないって! それを、こんな……。ひどい、ひどいわ……こんなのって……」
終わりのほうは嗚咽に混じって、よく聞こえなかった。ケリュネイアは耐えかねたように、緑の下生えの上に膝を突く。再びケリュネイアに背を向けるとき、あの白猫が緑色の目でこちらを見ていた。
賢者の森には父オルファウスの結界が張られているため、テレポートが難しい。できなくもないが、ネメアでは力ずくで突破することになる。今、そこまでする必要はない。
森の出口まで続く小道を大股に急ぎながら、彼の脳裏にはレインの青白い顔がよぎった。
準備は順調に整っている。概ね、ネメアの予定通りにことが進んでいる。この場に、ケリュネイアがレインを連れてきたのは予想外であったが、結果としてそれもよい方向に進んだといえるだろう。
これで、レインはネメアと敵対し、挑みかかってくるだろう。それでいい。
ネメアはふと、懐に入れた神器の指輪を取り出した。が、指輪を検分する間もなく、指が震えて取り落とす。短い緑の下生えの中に落ちた黄金を探すよりもまず、ネメアは自分の右手をためつすがめつした。
痺れている。槍を取り落とすほどではない。だが、あの一打――レインがネメアの喉もとに肉薄した、あの一打を受け止めたときに、痺れたのだろう。
ネメアは大きな手を何度か握ったり開いたりして痺れを取ると、下生えの中の指輪を拾い上げた。指輪は微笑みかけるように、森の木漏れ日にきらりと光る。
それを握り締め、ネメアは小さく笑った。
◇ひとこと◇
うひょー、たーのしーい!
私、大! 満! 足!