「しまった、忘れていた」
レインは思わず頭に手をやって、すっかり長く伸びた髪をかき上げながら天井を仰いだ。
目の前にはオルファウスが腕を振るった豪華な朝食が並んでいる。緑の青々としたサラダに、スクランブルエッグ、ソーセージにハムもある。赤や青のベリー類が器に盛られ、バゲットとチーズとジャムが手に取られるのを待っている。
猫屋敷の食事はいつ訪れてもこんな風に豪勢だ。こんな森の奥で、どうやって新鮮な食材を手に入れているのか、いつも不思議である。だが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「もう一週間近く経ってしまっているのよね。きっと、本国では死亡扱いになってるんじゃないかしら」
いつもの黒い士官服を脱いだだけの、ブラウスにミニスカートといった格好をしたザギヴが首を傾げた。彼女もまた、困ったように眉根を寄せている。
レインはエンシャントへの報告を、すっかり忘れていたのだ。言い訳させてもらえば、ザギヴのことで精一杯で、とても報告などということに頭が回らなかった。レインはもともと、軍人ではない。
「もう将軍職には戻れないかも」
ザギヴの言葉に、それはないんじゃないの、とレインは引きつったように笑った。意外と大事である。
「だって、別に悪いことをしたわけでは」
「報告もないまま一週間近くも失踪してたなんて、管理職には致命的だわ」
閣下はとても、厳しいお方よ――ザギヴの言う『閣下』とは、あのベルゼーヴァのことだろう。
レインも、まぁそうだろうなぁ、と顔をしかめた。管理職どうのというのはレインにはわからないが、ベルゼーヴァが厳しいというのはよくわかる。
「いいのよ。自分の責任だし。覚悟はできてるわ」
ザギヴはそう小さく笑うが、自分の居場所を失うというのはつらいことだとレインは思う。特に、ザギヴのような、努力して居場所を作った人間にとっては。
「一応、頼んでみる」
「閣下に?」
いやぁ、あれは……、とレインは首をひねりながら言葉を濁した。正直言って、レインがベルゼーヴァに物を頼めば、通るものも通らなくなってしまう。そういう、余計な自信だけはあった。
「宰相より偉い人に頼んでみるよ」
「さ、宰相より偉いって……あなた、陛下に会うつもりなの? こう言っては何だけど、副将が陛下に会うって、大変よ」
まぁ、頑張ってみる――とレインは言い、器に盛られたベリーをひとつ、口に運び入れた。
勢いでああは言ったが、正直言ってどうなるかはわからない。レインはディンガル城内を足早に進みながら、これから行うことの順序を、頭の中で確認した。
ほとんど一週間ぶりに戻った、消息不明だった将官の登場に、レインを振り返るものが多くあった。だが、レインは彼らを無視した。かまっていられない。時間が惜しかった。
レインは朝食もそこそこに、大急ぎでエンシャントに戻った。歩きで半日から一日かかるところだが、見かねたオルファウスが移動の術で送ってくれた。ザギヴは猫屋敷に残してきた。まだ、猫屋敷の結界の中で、マゴスの影響を封じたほうがよかろうという、レインとオルファウスの判断である。
レインは政庁を通り過ぎて、まず自分の宿舎に戻った。甲冑を脱ぎ捨て、いつもは着崩している将官の制服をきっちりと着込んだ。それから、朱雀軍の、自分に割り当てられた執務室に顔を出す。
将軍ならともかくも、副将の執務室はほかの将校士官たちと共用である。広い部屋に長机をいくつかくっつけていて、それぞれのスペースを使用する形になっている。今も何人かの士官たちが書き仕事をしていた。
執務室に入ったレインの顔を見るなり、呆気に取られた士官たちは示し合わせたように同時に椅子から立ち上がった。
「副将っ」
「お戻りになられたのですか」
「ご無事でしたか」
士官たちがわっと寄ってくる。山出しの小娘と思われているのではないかと心配していたが、杞憂かもしれない。
彼らはディンガル軍式の敬礼をよこした。
「朱雀軍一同、心配しておりました」
「ありがとう。迷惑をかけた。迷惑ついでに、ロセン解放軍について調べてくれ。大至急だ」
一人が慌てたように駆け出した。さすがに士官ともなると察しがいい。レインたちを襲った連中が、ロセン解放軍だとわかったのだろう。
「報告書を急いで書き上げたい。手伝ってくれ」
「そんな急にですか」
「午前会議が終わるまでに仕上げたい」
午前会議って――士官たちが壁にかけられた、魔法仕掛けの時計に目をやった。午前の会議が終わるまで、あと一時間程度しかない。会議が紛糾してくれるのを祈るばかりだ。
「急いでくれ。時間がない」
ネメアは会議場から出て、自分の執務室への回廊を急いだ。彼の後ろにはベルゼーヴァを筆頭として、長官やらその秘書官やらとにかく人が付いてくる。
エリュマルク帝に仕えていたときから大体こういう具合なので、ネメアは城自体をこういうものなのだと考えている。皇帝を差し置いて、当時枢密院議長だったネメアに列を作るというのも妙な話である。
正直言って、若き日のネメアにとってそういう仕事は煩わしい部分が多かった。森の奥の小さな屋敷で、父親と妹と猫たちに囲まれて育ったネメアは、昼夜を問わない人の多さに辟易したものである。
せめて、叔父エリュマルクにはそのようなわずらわしさを味わわすまい――そう思って取った行動が、エリュマルクを追い込むことになるとは。何という皮肉であろうか。
皇帝の移動の範囲というのはごく狭い。そのほとんどは、城の一番奥まった場所――離宮である後宮は除いて――すなわち、北棟に集約されている。枢密院会議が開かれるような大きな会議場も、謁見の間も、彼の執務室もだ。
足早に進むうち、人の数は減る。皇帝の執務室に着く前に、彼らは彼らの持ち場に戻っていく。当然のことだが、皇帝の執務室に入るというのは、生半なことではない。そのような重大な案件を、皇帝に直接持ってくるものなど、大抵は宰相くらいである。
なので、この辺りに人がいるということ自体が少ない。ネメアはその希少な光景を目撃して足を止めた。
「お待ちしておりました。少々、お時間を頂きたい。皇帝陛下」
貴人のスペースであるこの辺りには、紺地に金の刺繍がなされた絨毯が敷かれている。彫像や花が飾られた廊下の真ん中に、女が一人立っていた。
初めて会ったときより、いくぶん伸びた髪を半分結い上げるようにしている。姿勢がいいせいか、背が高いせいか、かっちりとした制服の似合う娘である。
彼女は――レインは、形のよい唇を引き結んで、じっとネメアを見上げていた。
「朱雀軍副将」
顔に、如実に不快感を浮かべたベルゼーヴァが、ずいっとネメアの前に歩み出た。
「ここは君のような立場のものが立ち入れる場所ではない。規律違反だ」
「そのような軍規はなかったと思いますが」
「慣例だ」
存じ上げませんでした、とレインは悪びれる様子もない。
それで――ネメアが割って入ると、レインは青い目をこちらに向けてくる。
「お前は玄武将軍とともに、消息不明だと聞いたが」
報告が上がってきたときは驚いたが、よもや二人とも死亡したということは考えてはいなかった。根拠は薄い。何しろ、ネメアは彼女らが消息を絶った現場を見ていないのだ。願望だったのかもしれないが、死体を見るまで確信は持てないと思っていた。
レインは、意外に元気そうである。
「そのご報告に参りました」
彼女はそう言って、朱雀軍の旗章が入った書類挟みを差し出してくる。
「それを提出しなければならないのは、私にではないな」
ネメアは言った。無論、いずれは自分のところに回ってきて、目を通すだろう。だからといって、今ここで受け取れるかというと話は別である。本当に、皇帝が目を通すべきなのかを判断するのは、ネメアより下の者の仕事だ。
「ええ。ですから、これは宰相閣下に提出します」
レインは言って、ネメアの脇に立つベルゼーヴァに書類を差し出した。ベルゼーヴァは、少しレインを見つめた後、その書類挟みを受け取って中を確認するように開いた。
レインはネメアを見上げている。
「……まだ何かあるのか?」
「冒険者としての私見は、それには書きませんでした。――聞きますか?」
『聞きますか』ときたか、とネメアは内心笑う。ネメアに向かって、このような態度を示す者は貴重だ。敵意もなく、害意もなく――あるとすれば、ネメアに対する圧倒的な信頼である。
ここで、聞かない、と返したら、この娘はどう反応を返すだろう。そんな考えが頭をかすめたが、レインの冒険者としての私見というのに甚だ興味がある。
「よかろう。――入りなさい」
ネメアはそう言って、自分の執務室の扉を押し開けた。レインは、失礼します、と挨拶して入室する。
ネメアは後ろで渋い顔をしているベルゼーヴァを振り返り、
「それを読んで、後でかいつまんで報告してくれ」
「……ネメア様」
友人はこれまでにないほど、苦い顔をしている。怒ったらしい。
「……小言はそのときに聞こう」
今日の昼飯はまずそうだな、とネメアは苦笑した。
宰相が入ってこなかったので、レインは思わず自分のすぐ脇を通り抜けていったネメアを見上げた。
「あの、よろしいのですか。閣下は――」
「そのほうが、お前も話しやすかろう。かけなさい」
ネメアはレインに応接セットのソファを勧めた。黒い革張りの、いかにも高価そうなソファである。将軍たちの執務室よりずいぶん広く、ずいぶん簡素だ。確かに、鉢植えが置かれていたり、酒ビンが並べられた戸棚があったり――物があるにはあるが、ただ置かれているだけという印象がある。
応接セットのテーブルはガラス張りで、ディンガルの国章が底のほうに見える。
革張りのソファに腰掛けたレインが話そうと口を開きかけると、対面に腰掛けたネメアが待ったをかけた。
「普通に話していい」
言われて、レインは開きかけた口をいったんつぐんだ。それから、じゃあそうします、と口を開いた。
「えーっと、これは報告書にも書きましたが、ロセン解放軍の怪物に襲われました。その怪物のことです」
レインはそこでいったん言葉を切り、続けた。
「ザギヴが言うには、怪物はマゴスに似ていたそうです。外見も特徴も」
レインはザギヴの言葉を思い出す。
ザギヴの胎に救う魔人はマゴスという。まだ、ザギヴが少女だったころに、ゾフォルの予言を恐れたバロルによって送り込まれ、彼女の家族をなぶり殺したのだ。ザギヴ自身は、今レインの目の前にいる男によってすんでのところで助かったが、マゴスを殺すことはかなわず、彼女の胎の中に逃げ込んでしまった。
マゴスには魔法も刃も効かなかったのだ、とザギヴは当時を語った。あの怪物は、ザギヴにはまさにマゴスそのもののように見えたようだ。それで、家族が惨殺されてしまった昔のことを思い出し、魔力が暴走した――らしい。
らしい、というのは、レインがそういった魔法関連に疎いので、ザギヴとオルファウスからの伝聞でしかないからだ。
「ロセン解放軍はリベルダムの商人とつながりがあるという噂があります」
朱雀軍の『草』を放ちました、とレインは言った。
「詳しいことは彼らの報告待ちですが。ネメアさん、私はとても――危惧しています」
「……人間が、魔人を作り出している、ということが、か?」
「それももちろんですが、普通の人間は魔人のことなんか詳しく知りませんよ。伝承とか、伝説とかそういう類の話ばかりだし、容姿とか、特徴とか――想像の余地があるでしょう。でも、ザギヴに言わせれば、あれは本物のマゴスを思い出してしまうほどに、とてもよく似ていた、と」
「魔人が、関わっている――か」
ネメアの顔が険しくなった。眉間に深いしわが寄る。長い脚を組んで、ソファにもたれかかったネメアは腕を組んだ。
「それから、ザギヴのことです。ザギヴは……その、オルファウスさんが言うには――」
ああ、彼女は今、猫屋敷にいますよ、とレインは慌てて付け加えた。
「それで、あの、胎のマゴスの復活が、近いかもしれない」
ネメアは腕を組んだまま何も言わなかった。ただ黙って、レインの言葉を聞いている。
「妖術宰相のゾフォルが、ザギヴに接触を図りました。その影響もあると思います」
あの不気味な老人こそが、『妖術宰相』ゾフォルだという。ザギヴ自身がそう言ったのだから、間違いはないだろう。ザギヴやネメアに関する予言を告げた、予言者である。
黙ってしまったネメアに、レインは少しばかり焦りを感じた。できれば、ザギヴ云々よりも、闇がその勢力を、各地で増していることを考えていてほしい。レインはそう願う。
「オルファウスさんが言うには、やるべきことはやったそうです。闇の力を抑えるような魔法をかけてくれたんですけど、それも、今回みたいな魔力の暴走が起こって、ザギヴが闇の方向に傾けば意味がないそうです」
それで、とネメアがそっけなく先を促すので、レインは少しだけ顔をしかめた。
「――ザギヴを、今までどおり、玄武将軍としてこの城に置いてほしいのです。玄武将軍は内務統括です。先陣を切るわけではない。それに、この城のほうが――あなたや宰相のいるこの城のほうが、ゾフォルも手を出しにくいはず」
ネメアはじっとこちらを見つめてくる。あの、こちらの真意を測るような、心の奥底をさらうような瞳をする。
「それは、お前の個人的な願望だな?」
「そうです。ザギヴの個人的な友人として話しています。ザギヴの居場所を奪わないでほしい。ザギヴを見捨てないでほしい」
レインが睨むように、強くネメアを見つめ返した。すると、ネメアがふいっと目をそらした。額に手を当てるようにして何かを考え込んでいる。
それらしい言い訳も、充分考えてきたつもりだったが、所詮小娘の浅知恵だったのかもしれない。お願いしますと頭を下げるべきだったのか――。
重い沈黙が降りる。ネメアは考え込んだまま、険しい顔をして固まっている。レインはついに痺れを切らして、口を開いた。だが、その瞬間、ネメアが顔を上げた。
「お前、私がザギヴの処遇と引き換えに、『束縛の腕輪』を渡せと言ったら、どうする?」
レインはぽかんと口を開いた。そんなことは考えても見なかった。特に、ネメアが相手だと――。
「あの……そういう、汚い手は、あなたは使わないと思います」
「それは答えになっていないな。――私は戦争をやっているのだ。戦争とは、そういうものだ」
ネメアが立ち上がった。ドアのほうへと向かいながら、ザギヴのことは検討しておこう、と言う。それから、廊下へと続く扉を開けて、行きなさい、と言うのだ。帰れ、と。
レインはしかたなく立ち上がって、ドアのほうへと向かった。ディンガルの獅子帝が、まるでドアボーイのように戸を開けて待ってくれている。
足早に寄って、頭を下げる。
「ありがとうございます。お時間を取らせました」
「いいや」
レインが執務室を出ると、その背後で扉が閉められた音がした。皇帝の執務室の周りはとにかく静寂が多く、そのたいした大きさでもない音が、妙に耳に響いた。
レインは回廊の角を曲がると、大きなため息をついて壁にもたれかかった。膝から崩れ落ちるように座り込む。
緊張でゲロ吐きそう――青い顔をして右手で顔を覆う。冷や汗がどっとふき出してきた。壁についた手が震えている。
やれることはやったが、ネメアがどう出るかはレインにはわからない。そういえば、ザギヴのことを切り出したとき、ずいぶん長考していたように思う。
「……『束縛の腕輪』か」
レインは呟いて立ち上がると、ブーツのかかとを鳴らしながらその場を去った。
ザギヴが登城したのは、レインが皇帝に直訴を申し出てから、三日後のことであった。
ザギヴは皇帝の執務室へと向かっている。副将や秘書官はつけなかった。綺麗にプレスされたブラウスにスカート、ブーツも綺麗に磨かれている。
皇帝に頼んでみた――レインはこともなげに言った。結果はわからないけど、とも言った。
レインはなれない移動の術で賢者の森と帝都を移動し、夜には必ずザギヴの顔を見にやってきてくれた。
ダメだったら、一緒に冒険者になろうか――レインはそう、冗談めかして笑った。
報いなければ――ザギヴは決意に姿勢を正す。静まり返った廊下に、ブーツの踵が廊下を打つ小気味よい音が響き渡る。
大きな木製のドアの前に立つ。ノックをして名乗ると、入れ、という短いが厳しい声で許可が下りた。
部屋の一番奥に、大きな皇帝の執務机がある。前面に大きなディンガルの国章がつけられた、古い机だ。大きく中庭に張り出たテラスに面した窓を背に、皇帝が座している。窓から差し込む日の光を受けて、獅子帝の名の由来の一つでもある鬣のような金髪が、キラキラと輝いていた。
ザギヴは執務机の前に立ち、ディンガル軍式の敬礼をした。
「楽にしていい」
ザギヴは気をつけの状態から、休めの姿勢をとって、ネメアの言葉を待った。
「体の具合はどうだ」
「万全とは参りませんが、おかげさまで、ずいぶんよくなりました」
そうか、とネメアは言った後、
「枢密院から、ザギヴは将軍には不適切だという声が上がっている」
「覚悟はしています。ただ、弁明を許されるのであれば、今のこの世界情勢を鑑みて、わたくしのほかに誰が玄武軍を率いられるというのでしょう」
「大した自信だな」
ネメアは小さく笑った。
「そのために――あなたに救われたあの日から、努力を重ねてまいりました。結果も残したつもりです」
そうだな、とネメアは小さく頷いた。
「だが、私は枢密院の言うことも正しいと思っている。戦争はこれから激しさを増すだろう。軍内の規律も取り締まる玄武軍の大将が、いざというとき体調不良で動けないというのは話にならない」
そこでだ、とネメアは立ち上がる。机の上に置かれていた、内示の封筒をザギヴに差し出しながら言った。
「お前の籍はそのままでいい。内務統括に専念せよ。玄武軍の指揮権は、一部を副将に委譲させる」
ザギヴは内示の封筒を受け取りながら、ぽかんとネメアを見つめた。入れてきた気合が緊張と一緒に抜けてしまいそうだ。
「あの……よろしいのですか」
「不服があるのか」
「不服はありませんが……疑問は」
ネメアは大きな執務机をゆっくりと回り込んで、ザギヴの隣に立った。ザギヴは目の前の、背の高い皇帝を見上げる。
「私ははじめからお前を処断するつもりなどない。この程度で辞めさせるのなら、はじめからお前を玄武将軍に任命などしない。ただ、枢密院とどう折り合いをつけるか考えていた」
ネメアは執務机に腰掛けるようにもたれながら、腕を組んだ。青い目が愉快そうに笑っている。
「そのときにお前の友人が皇帝を待ち伏せてまで直訴してきた。駆け引きのない情熱は人の心を打つものだ。無論、それだけで国は立ち行かぬ。だが、時としてそういう情熱に応えることがあってもいいと思っている。――行動は起こしてみるものだな」
よい友人を持ったな、とネメアに言われて、ザギヴははにかんだように微笑んだ。自分がほめられたわけではないのに、なぜだか、とても嬉しかった。
「はい。自慢の友人です」
「行きなさい。お前の働きに期待している」
◇ひとこと◇
玄武将軍失踪してない。
なお、直訴してきたレインを見て、皇帝はさぞ面白かっただろうと思われる。