何か、「異世界にシャワーがあったら違和感がある」という話が(結構前に)話題になっていたので、私見を語ります。
異世界にシャワー、あっていいと思います。というか、世界観によるよね。『ロード・オブ・ザ・リング』みたいに、完全に中世ヨーロッパ風のハイファンタジーで、いきなり何の説明もなく蛇口をひねれば適切な温度のお湯が出るのはさすがに違和感ありますが、『スター・ウォーズ』みたいなスペースオペラでシャワーなかったらおかしいじゃないですか。
だから、世界観による。
で、タイトルのお話になるのですが、私は「ない」と考えています。小説でも、「都会の裕福な家にしか風呂はない」という設定のもとで話を書きました。宿屋ですら高級宿でないと入浴施設はなく、一泊50Gの冒険者は宿からお風呂屋さんに通っていることになっています。
これはあくまで、私の考えですよ。他の人が描くバイアシオンにシャワーがあっても、別にそれでいいと思います。
バイアシオンの入浴事情を考える
バイアシオンには温泉に入る文化があるので、入浴自体に忌避感はないと思います。が、シャワー……というか個人で風呂を持つというのは結構大変なことなんです。
現代人だと「風呂がない家」というのは想像しにくいですが、日本だって昭和の中頃までは風呂のない家がゴロゴロありました。というか、全体的に見るとお金持ちの家にしか風呂がない時代のほうがまだまだ長いのです。
最近だとオール電化、ちょっと古くてもガスでお湯を沸かすことができますが、そうしたインフラのない時代だと、お風呂を沸かすというのがものすごく大変になります。
まず、大量の水が必要です。日本で上水道が各家庭に配備されたのは何と昭和50年ごろ(wiki調べ)。50年位前です。つい最近の話なんですね。ヨーロッパではイギリスが16世紀に上水道網を完備したようですが、浄水装置がなかったため伝染病や感染症のもとになるなど、ひどいものでした。
いかに治水を行うかというのは、古代から為政者の課題でした。治水の中には利水ももちろん含まれます。古代ローマ等、上水道を整備した国は多くありますが、川や湖から集落に水を引き入れるのがせいぜいで、そこから各家庭に水を運ぶのは人力ということになります。
人を使うことができる権力者は「水を運んでこい」と命じることができますが、そうでない人は水を運ぶだけで一苦労です。
現在、家庭用のバスタブの容量は200L前後(実際にはいっぱいにはしないので150L前後のお湯を使います)ですが、10Lのポリタンクが使えるとしても20回は往復しなければなりません。
ですから、バイアシオンの一般家庭に風呂・入浴施設はない、と考えることができます。
魔法という存在
ところが、バイアシオンには魔法があります。アクアの魔法で水を張って、ファイアでお湯を沸かせば、現代より遥かに早く大量にお湯を沸かすことができるかもしれません。
ここで問題になるのは、魔法がどれほど一般化しているか、でしょう。冒険者(プレイヤー)を見ると、各スペルを覚えるのは簡単なので、一般化するのは容易いと感じるかもしれません。
しかし、実際に一般人のステータスを見てみると、何のスペルも覚えていません。たまに救助クエストの対象がレベル30を超えていることがありますが、ソウルはブルーフレアのまま、低ステータスのままです。
ジルオールでは、スペルを覚えるためにはスキルポイントと精霊力レベルが必要です。これらはどうやら、モンスターを倒すなどしないと獲得できない何かのようですから、普通に町や村で暮らしている人はこれらが足りずにスペルを使うことができないと考えられます。
では、魔法は限られた人にだけ許された技術なのかというと、そうでもありません。ロストールのような内陸に位置する場所で、カルパッチョのような生魚が食べられていることを考えると、冷凍して運搬・貯蔵する技術はあるようです。
引退した冒険者とかが港で働いているのかもしれません。昔の氷屋さんのように、家庭やお店を回って、冷凍の魔法をかけているのかも。
ひょっとしたら、お湯を売っている魔法使い崩れがいるかもしれませんね。
バイアシオンにシャワーは存在するか
たとえば、自分で大鍋いっぱいのお湯を沸かして、あるいはお湯売りさんからお湯を買って、穴を開けたバケツや袋で簡易のシャワーを作る、ということは可能でしょう。ですが、一般家庭で現代で考えるような、コックをひねれば適切な温度のお湯が出て、ゆっくり体を洗って温まる、というのはちょっと無理があると考えます。
ひょっとしたら、魔法使いから買ったお湯をシャワーとして使う装置的なものがあるかもしれませんが、魔法仕掛けの時計すら一般化していない様子なので、可能性は薄いかなと思います。
フゴーのお屋敷やお城のような施設ならシャワー的な何かがあるかもしれません。(現代的なシャワーではなくて、打たせ湯みたいに常にお湯が流れっぱなしだったり、上から使用人にお湯を流させる古代式だったり、それこそ魔法じかけの何かだったりするかもしれません)
一般人はおとなしくお風呂屋さんへ行くか、自分で少量のお湯を沸かして体を拭いたり浴びたりするのが限界かな、と思います。
中世の文化レベルで考えるとこれでもかなり衛生的で、衛生面だけで考えると近代レベルだと言っていいでしょう。
現代人がシャワーと聞いて思い浮かべるものができるのは、産業革命が起こってからですから、ジルオールの世界観に合わせるとこの辺りが落としどころではないかなと思いますね。