When Love kills you.2 解説

 長くなるだろうとは思いましたが、それにしても長くなりすぎて、自分でも呆れました。やれやれ……。
 これでも随分削ったんですよ。

 
◇ディンガル帝国行政部
 これだけでかい国を宰相と皇帝だけで動かすのは、なんぼ何でも無理。というわけで、行政部を捏造しました。

・枢密院……いわゆる国防総省。国防と軍事の一切を取り仕切る。トップは枢密院議長として黒鎧軍の軍団長も兼任する。基本的に枢密院議長のほうが宰相より位は高い(軍事国家だから。武官のほうが位が高い。だからって権力を振りかざせるかというとそうでもない。後述の一府七省には基本的に手出しできない)

↓ここから下は文官がトップで、宰相の下につく。
・宰相府……立法、行政に関する皇帝の諮問機関。トップは帝国宰相。
・内務省……国土管理、都市運営、宮殿管理、皇室、儀礼・儀式の取り仕切りなど、管轄が多岐にわたる。トップは内務大臣。皇帝、皇族の身の回りを整える侍従たちもここの文官。
・国務省……外交を担当。トップは国務大臣。1201年以降の国務省は基本的に仕事してない。
・労働省……ギルドの管理(基本的に自治だろうけど)、職人の技術の保護、農作物の管理などを行なう。トップは労働大臣。
・税務省……税金、予算の管理。トップは税務大臣。
・商務省……経済、流通、産業を取り仕切る。トップは商務大臣。
・司法省……司法をつかさどる。トップは司法大臣。魔道アカデミーを卒業したザギヴは最初、ここの官僚だったが、後に宰相の目に留まって彼の事務官になる(という私の設定)
・教育相……いわゆる文部科学省。魔道アカデミーの運営や、教会の管理(教会が初等教育を担っているから)を取り仕切っている。トップは教育大臣。ノトゥーン神官が務めることになっている。

 私は宰相は文官だと思っている。

 嫌味な内務大臣は『ティラの娘退治』の際にネメアとベルゼーヴァが同時に城を出てしまったため、その隙にエリュマルクが自分の好きに人事をしたということになっています。エリュマルクのよいしょ係で、無能です。
 宰相がしっかりしてるから、こういうことはあまり起きそうにありませんが、逆にベルゼーヴァやネメアがいないとエリュマルクは簡単にクズを引き入れてしまうんじゃないかと。
 ネメアをこき下ろすだけで信用してくれそう。ちょろいぜ。

 なお、ネメア出奔後、ベルゼーヴァを止めてくれる人がいなくなったので、この内務大臣は帝国宰相の恐ろしさをその身で味わうことになります。
 一族郎党、ケツの毛までむしられて、社会的に殺されて、最終的にリベルダムのスラムで残飯を食うことになる。

◇キャラの性格
 切れた宰相を「怒髪天を突く」と描写したのは、笑うところです。

 私、一応、設定は捏造してもキャラの性格までは変えてないつもりなんですよ。出てくるキャラたちは、これでも真剣に考えて、考察して、こういうときはこうするんじゃないか、と考えながら書いています。

 ただし、あってるとは言ってない。

 ベルゼーヴァは冷静なように見えて、結構、直情型というか、ネメアから神器を横取りしたくらいで敵認定されるところを見ると、檄しやすいタイプだと思う。
 のんびりおっとりのネメアとはいいコンビなんじゃないかな。

◇なぜネメアはイズを誘拐したか
 だいたい作中に書いたとおりですが、まずゲーム準拠の話をしておきましょう。
 この時点での前提として、
1.ネメアは『死の獅子の予言』について(詳しく)知らない。
2.エリュマルクの闇落ちには気づいている。
3.ロセンのバックには南部があり、戦争状態は解けていない。
 2と3はこの話で説明しましたが、1は以前の記事で説明しています。(死の獅子に関する予言の謎)

 上記の記事ではバロルの動乱時にネメアはバロルを死の獅子だと思っていた、と書きました。ゲーム準拠で考えれば、バロル打倒がなった時点でこの予言は回避された、とネメアは思っていたことでしょう。
 ところが、エリュマルクの闇落ちが発覚し、ひょっとしたらこの予言はまだ生きているんじゃないかと疑いを持ちます。
 この予言にある『死から生まれた獅子』はあまりにも抽象的で、知っているからネメアをすぐに連想できますが、知らない限り候補が多すぎます。
 キャスリオンの死から闇落ちしたバロル。
 幼くして母親を亡くしたエリュマルク。
 誕生と同時に両親が死亡しているベルゼーヴァ。
 家族全員が惨殺されたザギヴ。
 そして、誕生時に母親を亡くしたネメア。

 『死』と『獅子』というキーワードから導くなら、生き残ったディンガル皇室関係者全員が候補になりえます。この時代に生きる人たちが、『獅子』と聞いて真っ先に思い浮かべるのはディンガルの国章だと思います。
 プレイヤー側はネメアが「後に獅子帝と呼ばれる」「獅子をモチーフにしたキャラクター」ということを知っていますが、それをネメアが認識できると考えるのはあまりにも無茶です。

 候補の一人であり、『獅子』の頂点に君臨するエリュマルクが闇落ちしているという状況は、ネメアの立場から見れば相当まずい事態です。
 エリュマルクがバルザーを殺せるとは考えにくいですが、別に本人がやらなくても、何ならネメアに殺させてもいいと思います。それくらい、この予言は曖昧で抽象的です。
 予言の真意が「エリュマルクに破壊神が宿る」だと仮定した場合、「死から生まれた獅子(=エリュマルク)が(配下のネメアに命令して)槍の主を倒す」でも問題はありません。

 世界情勢については後述しますが、私が勝手に挿入した国内情勢の不安がなくても、ディンガルを捨てて国を出る選択は難しかったと思いますね。

◇世界情勢
 ネメアをディンガルに縛り付けたもう一つの理由が、当時の世界情勢です。
 バロルの動乱のせいで、ディンガルは対外的な立場は悪かったでしょう(国務省仕事しろ)。くわえて、ロセンとは戦争状態にありました。作中でもいっているように、ロセンが鎖国状態になったからといって戦争状態が解除されたわけではありません。

 ロセンの後ろにはリベルダムの商人がいます。その後ろにはディンガルの国力をそぎ落としたいロストール(=エリス)がいます。
 ロセン対ディンガルという図式は、要するに帝国対南部連合という図式に置き換えることができます。

 もし、ネメアがイズ略奪を拒否してディンガルを出たとします。ペウダが恐れていたネメアが帝国にいないとなると、ロセンは動くでしょう。もし、動かないとしても後ろから押す連中がいるので、動かざるを得ません。
 帝国対ロセンの戦争が始まれば、南部はロセンを積極的に支持します。
 勝てますかね、ディンガルが。アンギルダンもネメアも欠いたディンガル軍で勝てますかね。
 まぁ、まず無理でしょう。

 大陸全土を巻き込んだ戦争の最中に、もし、現状一番闇に近いエリュマルクに破壊神が降りたら、とんでもないことになります。それこそ、大混乱の中でネメアは戦うことになります。本編沿い小説でレインがやったように、綱渡りに綱渡りを重ねて、それでも上手くいくかは時の運でしょう。まともならそんな危ない橋は渡れません。

 これらの状況を鑑みて、ネメアのイズ略奪の真相は、時間稼ぎだったと私は結論付けました。ネメアがエリュマルクのイズに対する気持ちに気づいていたかはわかりませんが、イズに時間を稼いでもらっている間に、エリュマルクを闇から生還させ、もとに戻そうとしていたのではないかと。
 ネメアの失敗は、イズが彼に惚れてたってことと彼がそれに無自覚だったということでしょう。
 あと、この人、イズに何にも説明してない。イズにちゃんと事情を説明して、「時間を稼いでください」とお願いすればよかったんだけど、いかにそれが正しい理由であれ女性の幸せを犠牲にした自分が言い訳めいた説明をするのが、性格的にできなかったんだろうなとは思います。
 いい悪いは別にして、ネメアのそういうしょうもない不器用さ、私は好きです。

◇小説内の話
 で、ようやく、小説のほうに言及しますが(ひぃー、長い!)、私、原作沿いのほうでネメアは『死の獅子の予言』について全部知ってる前提で書いちゃったので、こちらもそういう風に書かざるを得ませんでした。トホホ……。
 まぁ、でも、こっちもだいたい同じような理由です。比重がどこにあるかくらいの違いですね。ゲーム準拠だと予言に、このサイトの設定では情勢不安(とネメアの個人的な感情)に重きを置いています。

 ところで、この小説だとネメアとイズは昔そういう関係にあったわけですが、こういうときってどうするのが正解なんでしょうね。たとえば、兄弟で、お兄ちゃんが連れてきた婚約者が弟の元カノだった場合、とか。
 ネメアのように黙っている(墓まで持っていく)のが正解なのか、正直に話すほうがいいのか。人にもよるだろうけど、どっちにしろ気まずさ無限大だよなぁ。

◇16年ぶりの再会
 ネメアの登場シーンが、完全に何らかのアクションゲームのボス登場ムービーで、怖すぎる。エルファスもそりゃトラウマになりますわ。
 イズ視点だから、ネメアに対して恐怖の描写はしてないけど。

 この二人は、16年前にお互いに振られたと思っているので、気まずさがすごい。
 ネメアに手を握られたイズが泣いちゃったのは、悲しかったからじゃないんです。好きな人に触られて、16年前のこととか16年間の苦労とか、色々思い出しちゃって、何かちょっと感極まっちゃったんです。
 でも、ネメアはそんなこと想像もできない(Oh! このニブチン!)から、泣かしちゃった……!ってなってて、それにものすごくショックを受けて……。
 こういう展開すごい好きなんです。

 イズがネメアに何も言わなかったのは、当然予言のことを知っていたからです。イズは大体の事情を察していて、自分が行かなければネメアが皇帝に殺される(ただで死ぬ男でもないけど、お尋ね者にはなるだろう)ことがわかっているので、特に抵抗はしませんでした。
 イズは『死の獅子の予言』の真意を理解しているので、ネメアの置かれた立場も正しく理解しています。
 ネメアさんは死んだらあの世で土下座です。

◇あの子
 イズがネメアにあの子のことを明かさなかったのは、「皇帝にばれたら怖い」というのと、「今さら言われても」と言われるのが恐ろしかったからです。

 ゲーム準拠ならミイスの告死天使襲撃は忘却の仮面を狙った、でいいのですが、この小説の展開だとそれもおかしいので、あの子捜索が真意だったということになっています。
 ということはロイに妹がいたということになって、果たして彼女は今どうしているのか、という疑問が出てくるのですが。正直考えていませんが、どうやらアイリーンの証言を聞く限り、選ばれなかった無限の魂たちは存在していても1201年以前に、息絶えているようなので、夭逝してしまったのかもしれません。
 ……あの子はイレギュラーだから生きててもいいけど。

 このとき、『イズのあの子』は15歳の誕生日が来てません。まだ筋肉ゴリラになってないころなので、エリュマルクにばれたら手篭め一択。エロ同人展開待ったなし。

 二つ目の理由はお察しです。正直、今さら言われても、だいたいそれ自分の子か、と疑うのはしかたないです。ああいう別れ方だったし。
 現代ならDNA鑑定があるけど、中世ファンタジーなんで父親と子供の血のつながりなんて、確かめようがないし(ヨーロッパの王室なんかだと『仕込み』から衆人環視の中で行なわれたっていうし。大奥も坊主が見張ってたとかいうし)、イズの言葉を信じてくれるかどうかなんてわからないですから。
 まぁ、もう疑いようもないくらい親父に似てたっていうね。魔人の血が濃すぎるんだよ。