第44話 海と花束 解説

 裏タイトル「レインの初恋、散る」

 ネメアの墓参りイベントをここまで詳しく書く馬鹿は、私くらいなのではないだろうか。このイベント、私にとっては色々と思うことがあるので、好きなイベントだったりします。

 
◇経過日数
 猫屋敷の戦闘からまだ3ヶ月しか経ってないという事実。

 おかしいやろ……1,2年は経ってる密度やったわ。

 でも、3ヶ月なんです。猫屋敷での一戦が7月で、今は10月。

 馬がすごく頑張ってくれたんです。ありがとう、馬。

◇墓に行くために
 ザギヴを出汁にしたよ。ごめんね、ザギヴ。

 墓参りイベントを差し込むタイミングがここしかなかった。なおかつ、帝国に追われているレインが帝都に侵入する理由ということで、ザギヴくらいしか思い当たりませんでした。
 ザギヴは愛されてる。

 ゲームでは一人でほいほい墓参りに行っている獅子帝陛下ですが、何か宰相にばれちゃって、「気安すぎます。ちゃんと人払いしてください!」っつって怒られたんじゃないだろうかと思う。
 一応、エリュマルクの墓にも参ってますよ。た、たぶん……。

 それにしても、白い花のブーケとか可愛いにもほどがある。

◇宰相への評価
 レインは宰相をあれだけ嫌っていながらも、実力だけはしっかり認めている。

ネモ「ベルゼーヴァか。あいつはお前を軽蔑してるな。奴との関係は冷え切ってるぜ」
レイン「何だ、ただの両思いか。特に問題はないな」
ネモ「……まぁ、俺は別にいいけどよ」

 お互いに嫌っているから別に問題はない。

 1ヶ月くらい執務室に通い詰めて、「これで親密度上がったやろ!(ドヤァ」とネモに尋ねに行ったら、「ズバリただの知り合いだ」って言われたときには、こいつ見捨ててやろうと思いました。
 宰相は親密度の上がり方が少ない気がする(体感)

◇墓場で寝転がる女
 墓石の陰で寝そべっているレインを発見したネメアは、いったいどう思ったんだろうか。

ネメア「……くの一か」

 違うよ。全然、違うよ。

◇ダーウィン、こっち来んな
 15歳のころは憧れで、16歳から恋に変わったのかもしれない。1年間気づかなかった、という鈍感ぶり。主人公してるで。
 レインは見た目老けてる大人びてる割には晩生なところがあるので、気づかなかったのでしょう。
 まぁ、憧れと恋心の区別がつかないなんて、初恋にはよくある話。……べ、別に経験談とかじゃないですしおすし。

 そもそも、レインとネメアを夫婦にするつもりなら、同じシャイニングレオ系にはしていない。アガスティア系かルナシャドウ系にしてました。
 だってねぇ、獅子二頭で甘噛みしあっても、それはラブストーリーではなく野生の王国だよ。

◇米俵1俵=約60kg
 私はネメア×イズというマイナーカップルが好きな人間です。おそらく賛同者はいないでしょう。
 それでも好きだ!

 私がこの茨の道を歩むに至った理由としては、すべてこの墓参りイベントが悪いのです。

 無印版を初めてプレイしたとき、私はアンギルダンやドルドラムの話をよく聞いていなくて、「この人こんなところ(墓場)で何してんの?」と思っていました。墓参りにしては参っている人の話全然しないし。
 本編沿い小説でレインが思っている通り、エリュマルクの墓があって、そこに参っているのかと思っていました。
 で、何周かプレイするうちに、「あ、イズの墓に参ってるのか」と。

 何でや、と。

 すごい疑問。何でイズの墓に参っちゃうの。
 自分と不義密通の疑いをかけられて殺された女の墓ですよ。冤罪ならなおさら行っちゃいかんでしょ。
 死者の名誉のために、何にもなかったんなら――何かあったとしても――行くべきではない、と思います。誘拐して悪いことをした、と思っているならなおさらです。不義を働いた不貞の女として貶めるような行動は慎むべきです。ネメアが墓を参るという行為は、いらぬ誤解を生みます。
 ネメアのことですから、自分が他人にどう思われていようが気にしないんでしょうが、相手のあることです。そんな言い訳は通用しません。
 しかも、エンサイによれば、たびたび訪れている。「誘拐しちゃったから悪いと思ってるんだなぁ。ネメア様はなんてお優しいお方」なんて、エンシャント市民がまっすぐに捉えてくれればいいですが、「わざわざ墓参りに行くなんて、ただごとじゃない。しかも、何度か訪れている……。本当に何かあったんじゃないの?」なんてひねくれて捉えるものもいると思います。

 そう、私のようにね。

 実際、私はイズとの間に何かあったんだと思いました。たとえるなら、こういう

ネメア→←イズ←エリュマルク

 みたいな、状態だったんだと勝手に思ってました。ネメアはエリュマルクのために身を引いたんだと。
 そういう気持ちがあったんだろうなー、って。
 そういう気持ちがあったんだろうなー(推測)
 そういう気持ちがあればいいのに(願望)
 そういう気持ちがあったんだよ(妄想)
 そういう気持ちがあった(捏造)←今ココ

 もう、一度そう思ってしまうとですね、そうとしか思えなくなりまして……。あんなに胸を張って生きているネメアさんが、イズの墓前ではちょっとうな垂れておるんですよ。スタッフは天才か何かか!? そこでそのモーションを持ってくるかね! 滝の傍のマイナスイオンくらい哀愁が漂ってますよ!
 なんて報われない恋の似合う男だ、と。墓の下の女に恋をしてるなんて、なんておいしい男だ、と。おいしいよ、ネメアさん。地位も名誉も力も美貌もある男が、一生片思いとか。私、そのシチュエーションだけで白米5俵食える。
 ――と、まぁ、どんどん思考が飛躍していきまして、気がついたらこの二人の妄想が止まらない状態に陥っていました。
 ええ、病気だと思います。しかし、この病気は深刻で、この小説のこれから先にも蔓延しています。趣味だからね、しかたないね。

 しかし、私の書いた話を読んでいくと、イズ→ネメア→エリュマルク→イズ→……という謎の三角関係に陥っていたりする。
 どうしてこうなった。

◇英雄とは誰か
 この小説のタイトルになっている「英雄の肖像」の「英雄」とは、レインのことでもあるけれど、ネメアのことでもあります。

 ゲーム内で徹底的に超人的に描かれているネメアの唯一の汚点が、イズであり、この墓参りイベントだと思います。
 非の打ち所のない(言い方を変えれば、面白みのない)キャラクターのネメアの、唯一の人間らしさが垣間見えるイベントです。だから好きなんです。
 迷わない人間はいないし、間違わない人間はいない。破壊神が宿る器としての運命を嫌って、人間として(種族としての人間ではなく、この大地に生まれた一つの生命として)生きようと戦い続けるネメアを、唯一人間たらしめてくれているのがイズ略奪。
 皮肉と言うか、何と言うか――だから、このイベントが好きです。

 ジルオールの二次創作を書こうと思ったとき、まず真っ先に『人間』を書こうと思いました。どこにでもいるような、でも一言ではどうしても言い表せない、矛盾や曖昧さを抱えた一人の人間を。
 栄光の道をたどってきたはずのネメアが抱える、その影の部分に、そういう『人間』がいるような気がしました。

 この小説の主人公は、ネメアです。

◇ネメアの思惑
 まぁ、だいたいこんなところだろうな、と。
 何で戦争を起こしたのかよくわからない、何を考えてるんだ、と噂の獅子帝陛下ですが、国地域種族を超えて立ち向かわないと、どうにもならんくらいの大魔王になっちゃうと本人にも自覚があるんでしょう。

 ディンガル以外の国にとってみれば、獅子帝は侵略者ですから、いざ破壊神の化身になった場合、敵対状態にあるほうが都合がいいですしね。

 話し合いで解決しろよ、という話もありましょうが、状況的にまず無理でしょう。  
 まず、ネメアに破壊神が降臨するまでにどれだけの猶予があるのかわかりません。のん気に外交で攻めている時間があればいいですが、ネメアたちにはわかりません。また、ロストールにはエリスがいますが、ネメアが「私に破壊神が降りるかも知れないので、協力して欲しい」などと申し出たところで、あのエリスが「それは大変だ。早急に協力体制をとりましょう」などと言い出すはずがありません。
 エリスならばこれを足がかりにディンガルを責め、ファーロス家の勢力拡大と安定を図るでしょう。
 ほかの都市国家もそうです。ネメアが協力してくれと言い出したところで、「何でそんな危ないやつの言うことを聞かなあかんのや」と突っぱねるのは目に見えています。

 それにくわえて、ディンガル以外の国家の軍備があまりにも貧弱ということもあります。軍と呼べる体制が整っているのは、ディンガルとロセンとロストールだけです。ほかの都市国家は傭兵を雇ってにわか防衛軍をつくる、くらいでほかは自警団くらいがせいぜいです。
 なおかつ、ロセン軍がどうだったのかはわかりませんが、少なくともディンガルと大陸を二分している南の大国ロストールは封建的な軍組織で、いうなれば時代遅れです。
 貴族の私軍で構成されたロストール軍では、号令もまちまちでしょうし、そもそも装備も自前でしょう。
 そのままのロストール軍を統合したところで、ディンガル帝国の足手まといになりかねません。ひいてはそれらの先頭に立って戦う(そうなって欲しいと少なくともネメアは思っている)主人公の足かせになります。

 まぁ、事の善悪や是非はともかく、そういう理由があったのではないか、と思います。

◇バロルの悪行
 孫を恐れるあまり、国中の金髪の赤子を殺しまくった邪眼帝っていうのを、捏造してやったわ。魔王だし、そのくらいはやってるだろう。
 バロルは自分の孫なら金髪だろうと思っていたようです。男児限定にしているのは、まさか孫娘に殺されるわけがない、という慢心です。
 ただ、男の子と偽って女の子も相当数殺されたので、あまり意味はないかもしれない。

 当時、金髪の子は国外に逃げたり、染めたりして何とかバロルの目を逃れようとしていました。それでも、金のために密告されたり殺されたりしたため、ネメア世代には金髪があまりいません。

 ……捏造とはいえ、書いてて嫌な気分になりますな。

 それにしてもエスリンを殺したのはわかるとして、胎のネメアをほっといて森に捨てたっていうバロルの行動はよくわからない。慢心王なの……?
 むしろエスリンよりも先に、臨月まで育っちゃった胎の赤ん坊を何とかするべきだと思うんですがね。

◇吐き気をもよおす邪悪
 何も知らないレインを、己の目的のために利用するなんて、何という邪悪。

ネメア「邪悪なんで、もし私を殺すことになっても、気にしなくていい」

 と、割りと本気で思っている。気にするわ、そんなもん。

◇お父様が見てる
魂吸いの指輪「……あなたが楽しそうで何よりです」

 ところで、この話にはオリジナル注意の注意書きをしませんでした。一応、イベント自体はゲーム内にあるものなので、いらんかなと。
 内容? ……うん、まぁ、ちょっと……ご、5割くらい? いや、8割くらい違うかな……。

 わかってる。わかってるよ。全然違うよ。全然、違う、よ……。

 だって、「文句があるならかかってこい」って言われるだけなんだものー! 主人公にリアクションがないんだものー!
 ネメアさーん、もっとかまってー!

<追記>
 ここで「もっとかまって」とのたまっていますが、獅子帝即位以後、ネメアは主人公と敵対関係にあろうとしているので、ストーリー的にかまっちゃいけないんですよね。

 その辺の事情がわかるだけに、ネメアファンとしてはつらいところです。