短編 旅立ち 解説

オル「ネメア、ネメア、起きなさい。今日はあなたの16歳の誕生日。お城に行く日でしょう」
ネメア「お城に行ったらその時点で話終わるぞ」

 ネメアさん、誕生日おめでとう。

 
◇猫屋敷での生活
 成長に応じて水がめの大きさを変えていくとか、完全に忍者の修行ですね。

 今まで何度か書いてきましたが、私は猫屋敷での生活はそれほど特別なものではなかったと思います。もちろん、現代日本人から考えるとあれですが、バイアシオンでは割と普通だったのではないかと。
 ネメアの仕事は基本的に午前で終わりです。午後からは勉強したり、別の仕事をしたり、好きなことやったりしています。農作業は実益を兼ねた体育の授業みたいなもんです。クワ使ったりすると足腰鍛えられるから。

 ケリュネイアも畑仕事をやってるけど、やっぱり体力がね。

◇今いつか
 いまさらですが、私の小説は年代をいじり倒しています。本当にごめんな……。しかし、これはもうあきらめてほしい。お外には出してないから……!
 今回のお話ではネメアが16歳で、ロストール・ディンガル紛争が起こっています。ゲーム準拠で考えるなら、ロストール・ディンガル紛争時点ではネメアは8~9歳ですから、おかしなことになってしまいます。

 私のサイト内年号だとネメアは神聖王国歴1201年(ゲーム開始時)34歳になっています。この話では16歳なので、18年前神聖王国歴1183年ですね。
 ロストール・ディンガル紛争は18年前に起こって、1年程度で終結したことになっています。 

 なお、このロストール・ディンガル紛争は、ディンガル国内で反乱が頻発し、帝国が混乱を極めていた状況で、ロストールとロセンが調子に乗って起こったことになっています。
 ロセンはこれ以降、ディンガルの傀儡国家に。ロストールは国王が戦死、テジャワの変という内紛が勃発します。

ロストール・ロセン「調子に乗った結果がこれだよ!」

◇YESロリータ、NOタッチ!
 襲われている農村の少女はケリュネイアに年格好が似ていたわけですが、私の小説内では猫屋敷兄妹は3歳差になっているので、このときケリュネイアは13歳……。

 アウトォオオオオオ! 完全にアウトだよ、馬鹿野郎!

 ね、こういう悪いことをすると、怖いライオンのお兄さんがやってきて、殺される羽目になるんですよ。

 このお嬢さんにはメアリーという当たり障りのない名前がありますが、遊牧民のジョン君と同じく名前ありのオリジナルキャラになるため、名前は出していません。
 彼女はこの話のあと、無事にアキュリュースにたどり着きますが、バロルのアキュリュース侵攻によりアルノートゥンまでまた逃げることになります。
 その後、アルノートゥンで旦那と出会い、小さな飯屋を開いています。「初恋の人はネメアさん」が口癖で、しょっちゅう若い冒険者にネメアの話をするため、しょっちゅう旦那と口げんかをしています。
 なお、そのネメアの話をされた若い冒険者の中には、レインも当然のように含まれている。

 私はネメアさんは初恋キラーだと思っているので、こういうお姉さん方(初恋はネメアだけどネメアと結ばれることなく幸せになっている人)がいっぱいいてほしいです。

◇ネロさん
 ネメアが本名を名乗れないのは、バロルに居場所がばれてしまうからです。

 で、偽名を名乗らせる必要があったんですが、本当は、新しくゲームを始めたとき主人公を作る際「おまかせ」で出てくる名前を使おうと思ったんですよ。そのために、1時間半くらいおまかせで出てくる名前をメモし続けるという無駄な時間を使ったんですが、いいのがありませんでした。

 ネメアが凝った偽名なんか思いつくわけがない→「ネ」で始まる名前がいいだろう→おまかせに「ネ」で始まる名前……ないな→ネロでいいや(適当)

 本当に無駄な時間でした。

◇この世はでっかい宝島
 こういう時勢、こういう生まれ、こういう立場じゃなかったら、ネメアの旅立ちはもっと健全なものだったのかもしれないなー、と思っています。それこそ、若者らしい冒険心と好奇心の赴くまま、好きなように、自由に、冒険してたんだろうな、と思うと同情心半端ないです。

 というか、そんな話し出したら、バロルがエスリンを殺さなかったらネメアは城で育ってたわけだ。……うわぁ、剃りあわなそう……! バルザーも爺さんも嫌いそうだから、お母さんべったりのマザコン(ジルオールの法則的に)になりそうですね。それはそれで見たいと思いますが、お母さん死ぬとあっさり闇落ちしてバッドエンド待ったなし。お前のコンプレックスで世界がやばい。

 じゃあ、バロルが闇落ちせず賢帝のまま国を治めてたら、って考えるとバルザーとエスリンが出会う機会がないんですよね。たぶん、バロル配下の人間の優秀な男の人と結婚してるでしょう。そうなると、もう生まれてきた子はネメアとは言い難くなってしまいます。

 結局、ネメアは「祖父バロルを倒すため」に旅立たざるを得ないですね。当然だけども。好奇心の赴くまま、とはいかなかったんですね。
 原作ゲームですら26歳。平均余命50歳の世界観で考えると、もう若いとは言い難いです。こうやって考えると、ネメアが己の青春を捨てて運命と戦い世界を救ってきた、というのはあながち言い過ぎではないですね。

◇タフボーイ
 帝国の騎馬小隊が街道をかっ飛ばしているシーンが、完全に原哲夫の世界観でした。ヒャッハー、金髪のガキは消毒だぁー!!

 まぁ、だいたいあってるよね。

 私は世の中は3Dでできてるので、こちらから見ると黒でもちょっと斜めから見ると白なんてことばかりだと思っているのですが、たまにどっから見ても黒しかないガチでヤバいやつってのがいるんですよね。
 若い人はポル・ポトとかググってみるといいんじゃないかな。個人的にはスターリンの大粛清より、ポル・ポトのほうがいっちゃってる感ある。

 で、バロルは(特に末期)そういう、ガチでヤバいやつだったと私は思っています。
 貴族制を廃止し自由と平等を目指す←わかる
 そのために特権階級を弾圧する←!??!?!?

 弾圧ですよ、弾圧。具体的にどういう政策を行ったかはわかりませんが、弾圧というからには「今までの身分階級による特権撤廃ね」くらいじゃ済まないでしょう。エンサイによれば、大規模な粛清まで行っている。
 精神や脳の機能に異常がある状態というよりは、「これが自分の理想郷を造るために必要な一過程」だと盲信してやってる感がありますよ。そして、往々にしてそういうやつの方がガチでヤバい。

 たぶん、バロルの原動力はキャスリオンだろうから、「みんなが平等に評価される世界が見たいわ」みたいな嫁の言葉が忘れられなかったんじゃなかろうか。で、キャスリオン死んじゃうし、友達も子供たちも自分を理解してくれない(当たり前だ)し……で、強硬な手段に出ちゃうと。
 バロル、繊細すぎだろ。しっかりしろよ!

 あ、「金髪の赤子を殺せ」はヘロデ大王の幼児虐殺をパク……参考にしたものです。でも普通に考えると赤ん坊を殺すってやってる方も精神ヤバくなると思うんですよね。PTSDとか。それとも、人権もクソもなかった時代はそんなん関係なかったんですかね。
 まぁ、フィクションだし。悪役は悪役らしくないとね。

◇手癖悪い
 何で私の書くネメアさんはこんなに手癖悪いんですかね。この短編中、二回も兵士からソードを奪ってますよ。本編でもレインから勝手に短剣借りてましたね。
 そういうイメージないんですけどね、気が付いたらこんなことに。

 何というか、こういう異常な決断の速さというか、武器がなければ奪えばいいじゃないみたいな思考は、レインとは違うところという対比のような感じで書いていました。
 二人は大きなくくりで見れば戦い方とかとても似てるんですが、細かいところでは結構違っているといいな、と。
 まぁ、たいていレインが「その発想はなかったわ……」って言うんですけど。

 あ、でも、そういえばレインも敵からソード奪ってたわ(第48話にて)
 あれ……? そんなところまで、似てるの?

◇振り向かないこと
 何か10代から達観してそうなネメアですが、一応、10代のころは10代らしく、青臭い感じで書きました。
 「悪いことを悪いと言って、何が悪い!」みたいな。勢いで行動できちゃう感じです。

 なので、後先考えず森を飛び出しちゃったり、名乗っちゃったり。
 ジルオールのキャラクターは「そうは見えないけど実はこう」っていうキャラが多く、ネメアもそういうキャラクターの一人です(エンディングのオルファウスさんのセリフより)
 なので、こういうキャラクターに書いています。

 この時点のネメアさんはまだ死の獅子の予言について知らないので、自分はどこへでも行けるし、何だってできると思っています。それは思春期にありがちな「自分は特別である」という勘違いからくるものです。別に悪いことではないんですよ。若いということはそれだけで可能性に満ち溢れているし、それを叶えるだけのパワーもある。
 このあと、ネメアは狭い森を離れ、多くの人と出会い、多くの景色を見て、挫折や成功を味わうことで成長してきます。

◇血の証明
 なぜバロルはネメアを自分の孫だと認めたか、というのはバロル動乱期の謎のひとつです。

 私はネメアが自ら名乗ったんだろうと思っています。

 自分の立場を脅かされるのを恐れ、「ザギヴ」という女の子相手に魔人を送るような男です。もし、「エスリンの子」を名乗る人物があらわれたら、嫌でも注目せざるを得ません。たとえそれがニセモノであっても。
 バロルの孫の予言に関しては、バイアシオン、特に帝国領内では広く知れ渡っていてしかるべきだと考えます。つまり、「エスリンの子」はバロルを殺せる人物であり、バロルに敵対する勢力の旗印になります。もうそれだけでバロルにとっては邪魔ものです。

 ニセモノにしろ本物にしろ、バロルはこの人物を無視するわけには行かないのです。

 「エスリンの子」の名乗りを上げることで、ネメアはバロルの憎悪を自分に向けることができます。自分を狙わせるというのは、いかにも彼らしい戦い方だと私は思います。

 「エスリンの子」を名乗るものを殺すために刺客(魔人含む)を送り込む→ことごとくネメアが退ける→「本物の予言の子だ」と周囲が認める、とこんな感じでネメアは周知されていったのではないかと思います。
 本来はこの話でも魔人の一人でも登場させた方が「らしい」のですが、キャラ造形する暇がなかったのでここでは出せませんでした。

 正直言って、バロルがネメアを孫だと認識していたかどうかは問題ではありません。しかし、まぁ、個人的にはわかっていたんじゃないかと思うので、私の書く話ではバロルはネメアを自分の孫だと認めています。

◇獅子の鬣
 当然ですが、この時点のネメアはあの黒い鎧姿ではありません。公式でどうだったのかは知る術がありませんが、ここでは主人公でいうクロース姿になっています。いわゆる、「ぬののふく」ですね。
 ゲーム本編で黒鎧の下に着ているダブレットとはまた別の、粗末な服です。

 また、髪も長いは長いのですが、革紐で一つ結びにしています。これは……まぁ、芸がありませんが、長編でレインが最後に髪を切ったように、決意前決意後をわかりやすくするための演出ですね。
 ……わかりにくいですか? サーセン。

 この時手渡された革紐を、メアリーさんは今でも大事に持っています。旦那さんがやきもち焼くから、秘密です。

◇お父さんの餞別
 ネメアが旅立ったのは、この翌日くらいですね。一日で旅支度を終えて、早朝に家を出ようとしたらケリュネイアに見つかって一緒に行く羽目になる、みたいな感じです。

 なお、ネメアがお父さんの結界の外で名乗ってしまったせいで、バロルに気配をとらえられてしまいましたが、オルファウスさんが餞別代りに魔法をかけてくれたので、相手に行動が筒抜けにはなっていません。

ネメア「そんな便利なものがあるなら、最初からかけてくれ」
オル「そんな便利なものかけちゃうと、あなた黙って家出ちゃうでしょう」

 ほいほい森の外に出かけて、そのまま遊牧民にくっついて旅に出そう、と思われていた信用のない息子。

オル「たまには帰っておいでなさい。どんなに遠くに行っても、ここがあなたの帰る場所です」
ネメア「父……」
オル「そんでお土産もよろしくー!」
ネメア「……感動を返してくれ」

 なお、お土産を買ってくることはなかった模様。

◇ネメアのお話
 このほか、捏造したいネメアの過去話としては、レーグとの出会い、闇太子との邂逅、ザギヴとマゴスの話、アキュリュース攻防戦、決戦バロル城があります。
 特にアキュリュース攻防戦から決戦バロル城への流れはぜひ、書きたいですね。楽しそう。
 あと、ネメアはほとんど出てこないだろうけど、エスリンとバルザーの夫婦の話は絶対書きます。もうプロットまで作ったもんねー!

 どれだけかかるかわかりませんが、ぼちぼち書いていきたいなと思っています。