ネメアの人物列伝から一部抜粋。
「――破壊神ウルグの復活を図る魔人バルザーを倒す。そこで彼はゾフォルの予言について知る。それによれば、破壊新ウルグが降臨するのは、他ならぬネメアにであり、この運命を変えることはできないという。――」
え!? 死の獅子に関する予言を、あそこで知ったの!?
……エンサイとか始原口伝とか、二次資料ならともかく、ゲーム本編で言及されてる内容にいちゃもんはつけたくありませんが……それは、ちょっと、無理がないか?
というわけで、この件に関して本気出して考えてみる(考えてみたら長くなったよ。ごめんね)
まず、どこに無理があるか、をはっきりさせておきましょう。
この時点でネメアが自分の運命を知らないというのは、はっきり言ってありえない。なぜなら、ネメアが自分が戦う理由として「運命にあらがうため」と述べているからです。
これが口からでまかせだったとしたら、そのために殺されたエリュマルク涙目です。
ところがどっこい、「知らなかった」と言うんなら知らなかったんでしょう。では、ネメアが戦う理由とした「運命」とは何だったんでしょうか。
(※『トリニティ』でどう説明されているのか知らないので、ここでは無視しています)
そもそも、この「死の獅子に関する予言」はゾフォルの予言の中でもかなりのイレギュラーで、人物の名前が一切出てこないんですよ。
あの予言は通常の予言の形態では「ネメアが魔人バルザーを倒す。破壊神ウルグはネメアの肉体に降臨し、『神』となったエルファスを倒すだろう」と、こんなところでしょうか。
ゾフォルの予言は固有名詞が普通に出てくるのがデフォルトなのに、この予言だけ抽象的過ぎるのですよ。
ここに、原因がある気がします。
つまり「予言自体は知っていたけど、それがまさか自分のことだとは思ってなかったよ」説、を提唱したい。というか、それ以外思いつきませんでした。
そもそも、「運命にあらがうために戦う」と言いながら、「バロルは娘の子に倒される」という運命に、がっつり従っているお前は何ぞや、という話を解決しなくてはなりません。
まさか、この予言も知らなかった、というのはさすがにありえません。
一番、納得がいく説明としては、「バロルは娘の子に倒される」という予言は、ネメアにとってあらがうべき運命ではなかった、ということでしょう。エリュマルクに尋ねられたとき答えた、あらがうべき運命とはやはり「死の獅子に関する予言」なのです。
では、予言に記された死の獅子を、ネメアが誰だと思っていたのでしょうか。これはバロル以外にいません。
邪眼帝と呼ばれる以前のバロルが、獅子を彷彿とさせる人物だったのかは定かではありませんが、ネメアのわかる事実として「槍の主」の異名を持つバルザーが彼と袂を分かっていることがあります。バルザーの異名くらいはわかるでしょう。一応、実父です。
また、バロルは魔人を召喚して使役しています。ネメアが予言の「我らの主=破壊神ウルグ」だと気づけるかどうかは分かりませんが、破壊神ウルグの召喚条件くらいは分かるでしょう。
しかし、これだけでバロルがウルグを召喚しようとしている、と考えるのは無理があります。ネメアにそう思わせた要因が、もう一つあります。
告死天使によるミイス村の強襲です。細かな年代は定かではありませんが、ミイス主が戦闘に参加できないくらいの年齢だったこと(ミイス主を見てもネメアが何もいわなかったことを考えると、彼らは面識がないのでしょう)と、戦闘に参加したロイの年齢を鑑みて、バロルが存命のころでしょう。
なぜ、施文院はミイス村を襲ったのでしょう。エンサイには「闇の神器を狙った」とありますが、なぜ闇の神器が必要だったのでしょうか。
私はすべてはイズの目的のためだったと思っています。イズは「バロルを魔人化させて世界を消滅させようとしていた」とあります。しかしながら、いかに超人的な力を持ったバロルといえど、魔人に落ちた程度で世界を消滅させられるほどの力を得られるでしょうか。それこそ、それは破壊神並みの力です。
現に、魔人の中で最も力を持っていると思われるヴァシュタールですら、この茶番劇の舞台を壊そうとまではしていません。できるのなら、とっとと自分で幕を引けばいいのです。
世界を消滅させるには、ウルグを顕現させるしかないのです。
ウルグがこちらに顕現するためには器が必要ですが、その魂を受け入れられる肉体がほいほい転がっているとは思えません。大いなる魂ですら、肉体の錬度が足りないとウルグの魂は受け入れられません。
この時のネメアはバロル討伐時点でレベル30以下。ウルグの魂を受け入れるにはレベルが20ほど足りません。
イズは、バロルを魔人化させることで、破壊神の器を人工的に作ろうとしたのではないでしょうか。
魔人を使役するバロルが、槍の主と呼ばれるバルザーを国から追い払い、施文院を使って神器を集めている――ように見える、と思います。
よって、ネメアは「死の獅子に関する予言」をバロルのことだと勘違いした、というわけです。
よくよく考えれば、ネメアは「運命」としか言ってません。「自分の運命」でなくともかまわないわけです。彼の言った「運命にあらがうために戦う」という言葉は、自分だけではなく世界そのものの崩壊という運命を退けるためだった、といえます。
なお、自分の小説内で思いっきり「私は自分の運命のために戦っている」とネメアさんに言わせちゃった私は、この設定に後で気づいたことでめちゃめちゃ苦しむことになります。